「鮫の裏」という海沿いのこれまた小さな漁村で、Aさんの依頼により、カキの貝殻の選別がお仕事。
貝殻は、ホヤの養殖につかわれる。
貝殻を数珠つなぎにして海に水深6-7メートルに沈めると、ホヤの卵がつくんだって。
だけど、津波でホヤの卵が流されたかもしれないので、人工的に種付けをするらしい。
これは初めての試みで、ホヤが売れるように育つまで4年。
その間無収入。
不安でたまらないが、やってみるしかない。
選別するっていったって、20㎡四方に貝殻の小山が6つほど。貝殻を一枚一枚選別するには気が遠くなるような作業だ。
1まいずつコツコツ、コツコツ。
はたけづくりとは違い、身体を動かさないので寒さがじんじん。
5人以上で作業しても一山の半分もいかない。
おじさん一人でしなければならないとしたらどうなるだろう?
Aさんの奥さんと娘さんが焚き火をたいて、地元でいう「どんこ汁」をつくってくれた。野菜、魚、たっぷりのニンニク。
くはーっ、たまらん。
私が、「このメンバーはオーストラリアからきた。」とAさんに伝えると、
ちょっと待ってろ、と車から大切そうにビニールにくるまれた写真数枚を取り出して見せてくれた。
友人のオーストラリア人夫婦 が遊びにきたときに、玄関前で取った写真。
家は流されちゃったけどなー、ガハハ
そういいながら、嬉しそうにオーストラリア人の友人の話。
それから、イギリス人の夫をオーストラリア人と思ったのか、
な、オーストラリアの友達から連絡きたら、あんたにも連絡するから、必ず連絡するから。な。
なぜだか切なくなる。
奥さんはにこにこしながらいった。
あの人、やっと笑うようになったんよ。 この前まで本当に笑わんかったの。
それから、お孫さんのことを教えてくれた。
うちの孫ね、震災の直後に生まれたの。
娘が臨月でこっちに戻ってきててね。
春希
春に希望を持って生まれたから。
あの子が私らの希望の星。
すくすく育つのを見てると頑張りゃなーと思うのよ。
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